作:にま(@emeraldcatseye

 

「え、じゃあ、宮原は好きな人居るの?」

「居る」

「え、あ、そうなんだ!?…ふ、ふーん。あ、じゃ、じゃあ応援するよ!どういう子なの?」

 

電話の向こうの空気が変わる。俺の答えへの反応も「動揺してます」と言っているようなものだった。
トーンが一瞬下がり、無理矢理上がる。そのことに俺の口角はゆるりと上がった。

 

丑三つ時も近い今。最近日課になりつつある真夜中の電話。相手は俺の隣の席の奴。
席が近いということや、俺の部活の先輩の幼馴染みってこともあってよく話す。
向こうも部活をしているから、たまにしかなかったけど、一緒に帰ることもあった。

 

いつだったかは忘れたけれど、向こうからから宿題助けてという電話がかかってきたことがあった。多分それをきっかけに、ダラダラと電話をするようになったんだと思う。

今日はいつものように学校の愚痴や、部活のことを話してから恋愛の話に発展した。
先に俺が向こうに好きな人居るのかと聞いたら居ないを連呼された。

 

電話越しでも分かる、好きな人間が居る事実。

 

つ いでに言えば、面白いことに、向こうは俺のことが好きらしい。

 

あいつの幼馴染みでもある、部活の先輩から聞かされた情報。
先輩曰く「宮原が好きすぎてどう しよう」らしい。

 

先輩に言われた時、不本意ながらニヤけそうになった。
もちろんそんな顔は先輩に見られたくないから、適当に流した。

 

向こうは好きってことを自分なりに隠して俺に絡んでくる。まあ、隠しきれてないけど。あいつは俺と話せば、他と話すよりも思い切り笑う。頬っぺたをほんのり赤らめながら。

 

そんなあいつをいつの間にか好きになってたのも、紛れもない、事実。

ただ、簡単に告白して付き合うんも面白くない。
付き合う前の最後のからかいでもしてやろうかと俺は口角を上げたまま会話を続けた。

「俺のこと好きなんだろうなあ。俺と話すと顔赤くさせながら満面の笑み浮かべるんだよ」

「え、じゃ、じゃあ両思い、みたいな?」

「本人に直接聞いてないから分からないけど多分そう」

「じ、自信満々じゃん」

 

あ、多分あいつは今、一生懸命俺を小馬鹿にするような顔してる。
まあ全然馬鹿にされる気なんかしないけど。

 

むしろ可愛い。

 

鼻で笑いながら当たり前だと告げ、また特徴を挙げる。

いつになったら自分のことを言われてると分かるんだろう。

 

「しかも自分の中では俺のことが好きてことバレてないって思ってるんだよ」

「何でそんなこと、分かるの?」

 

電話の向こうから本気で分からないという空気がこっちにまで伝わってくる。
まあこんくらい遊んだんだし、そろそろいいか。

 

せいぜい俺が今から言う言葉に混乱すればいい。それで明日の朝会った時に、顔を真っ赤にして好きだと俺に言えばいい。

 

そんなことを考えながら俺は爆弾を投げ込んだ。

 

「何でだろうなあ…?」
お前、今までの自分行動、振り返ってみろよ。